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青木克憲の考え方

Chapter 6

わかりにくいものをわかりやすく ~
素早く普通にまとめてみること

すべての人が受け入れてくれて、楽しんでくれるものは何か?を自分なりに考え、突き詰めるには、情報を集めることが大切です。まずは、それまでの仕事の流れや競合商品の表現などを参考にすること、その商品のマーケティングをすることが第一歩です。

もっとも身近なマーケティングは、自分の肌感覚かもしれません。よくアンテナを張るなどといいますが、ミーハー的に流行に乗ってみるのも大切です。その実感に自分の考えを加えることが、新しい表現が生まれるきっかけになることもあります。でも、それだけでまとめてしまった表現は、自己満足で終わってしまいます。しかし、自分なりの直感を形にしたもとになる表現なので、素早く1方向として作っておきます。

さらにクライアントが求めている、メジャーな表現も、もっと広い範囲から情報を集め、それを理解し、選別してまとめ、新しいものとして押し出していこうと思ったことや、考えていることを形にします。この作業は結構大変です。そして、さらに1方向、確かにクライアントが求めている、堅実な1案が完成するのです。

この2つの表現を作ったことで、達成感を感じ、ベストを尽くしたと錯覚してしまいがちです。ここで止まってしまうものが世の中の大半です。これでは、提案する2方向が出来たものの、選ばれる方向は明らかにクライアントよりのものになってしまいます。

でも、本当に新しいものを生みだすためには、その先に進まなければいけません。この2つのまとめる作業をもっと合理化し、時間を短縮して、再度その仕事に向き合って考える余裕、つまり時間を作るべきです。時間を作ることで、自分の作った表現を客観視できる余裕が生まれます。情報の鮮度や重要度を計って、再度、充分に考え直してみましょう。

わかりやすくしたものを深く考える ~
考えをまとめ、コンセプトを決めること

この段階で大切なのは、なぜその表現が必要なのか、それによってどんな課題が達成できるのかなど、そもそものクリエイティブの原点に立ち帰ることです。そして、改めてまとめ直した考え方と最初にまとめた原稿を照らし合わせながら、本当に重要なものを導き出すことです。

本当に重要なものが「コンセプト/本質」です。コンセプトは、目指すべき方向性そのものですから、『そこの考え方さえ外さなければ、どんな表現でも良いんだ』ということもわかってきます。

では、コンセプトから外れずに自分なりの表現を定着させるにはどうすればいいか。これができれば、クライアントにとっても、自分にとっても最善の表現ということになるのです。ここまで来れば、その後は、必要なコンセプトにあったもので、どう表現を積み上げていけるかです。その積み上げ方が、綿密であればあるほど、表現も比例して力強さを増していきます。

深く考えたものを明るく表現する ~
目標に向かい、最高のものを作ること

深く考えたものを明るく表現するために必要なのは、クオリティです。そのクオリティをキープするために必要なのは、コンセプト(本質)に合ったものを作るために、必要な要素を考え、必要な人材を決めることです。一方向ではなく、考えられる数方向に対して、探りを入れ、競合させるのも良いやり方です。

コンセプト(本質)と表現をぶれないように心がけるためには、常に、なぜ作るのか、なぜ必要か、それによってどうしたいか、などそもそもの考えと、いま進めている作業を、照らし合わせることも大切です。新しい部分はどこか、良いところはどこか、メリットは何か、相乗効果を生み出せるか、これを自分をごまかさず、ウソつかずに最大限に表現し、伝えるものを作り出すのです。

それらの要素のひとつひとつは、つまらないことかもしれませんが、ちょっと、ちょっとの小さいこだわりの積み重ねが最大限を築くというイメージでしょうか。コンセプト(本質)に必要なことを積み上げることで、そのものの個性(オリジナリティ)が生まれます。

そして出来上がったものは自分にとって最高のものだと思えるようになって、自分たち共通の誇りやプライドが出来るのです。