ほりたみわ

2009年2月14日開催のゲストは、イラストレーターのほりたみわさん。雑誌、書籍、ウェブなど、さまざまなところで活躍中です。描くものも、イラストからキャラクターデザイン、オリジナルグッズと多岐にわたります。今回は、彼女のプロデューサーであり、良き伴侶でもある廣瀬祐介さんを伴ってのトークライブ。オフビートでウィットに富んだふたりのやりとりは、イラストの世界がそのままトークになったようでもありました。今、人気のイラストレーター、その生の姿とは!?


今やっているお仕事

紙媒体では、『R25』、『進研ゼミ』、『ミーナ』、『ナンクロ』、後はパチンコ・パチスロ雑誌なんかにイラストを描いています。他には、デコレーションメールの素材づくり、携帯小説サイトのキャラクターデザインをしています。

コミック出版の「オールナンクロ」に掲載された4コマ漫画

リクルート「L25」に掲載された一コマ漫画

イラストレーターにはどうしてなったか

はじめてイラストレーターになりたいと思ったのは、中学生のとき。そのときの美術の成績は良くも悪くもありませんでした。当時からゲームが好きで、もちろん『ドラクエ』も好きだった。その流れで買ったのが、『小説ドラゴンクエスト』です。そこには、いのまたむつみさんが描いたイラストがあって、「なんて美しい絵なんだろう」とすっかり魅せられてしまったんです。それで、いのまたさんの画集を買うまでになってしまった。すると、彼女のプロフィール欄に、「イラストレーター」という肩書きが記されていて、はじめてそういう職業があることを知ったんです。そのときから、漠然と「イラスト描いて生きていけたらいいなぁ」と思うようになったわけです。その後、インテリアデザインやデザインの勉強を高校、大学でしました。ところが大学を卒業しても、イラストレーターとしてデビューできるわけもありません。だから、アルバイト、そして派遣社員をしながら、絵をホームページに載せてイラストレーターをダラダラと目指すということをやるようになった。

ほりたさんが愛用している文房具

売り込みはしたか?

売り込みについては、出不精で面倒臭がりなので営業活動というのはあまりしていないんです。でも、 『moca』というキャラクター雑誌だけは別で、持ち込みというものをはじめてしまた。仕事が来るきっかけになったのは、実はブログの女王と言われた真鍋かをりさんなんです。あるとき彼女が、眼鏡をかけて「なりきりトミー・フェブラリー」になった日があって、そのときに便乗して私も「なりきりトミー・フェブラリーになった真鍋さんになりきり」というのをやったらアクセスが殺到して、そこから仕事になったんです(笑)。私をイラストレーターだと認識してくれた人が中にはいたんですね。後は、ブログ経由でいくつか仕事がきて、そこから仕事がどんどんつながっていきました。それであるとき、イラストの仕事で忙しくなりすぎて、派遣とイラストの仕事の両立ができなくなり、体調を崩して腸炎になってしまった。それだったら、派遣ではなく、フリーランスのイラストの仕事をしよう。それで独立したんです。


独立後の収入は?

フリーになったばかりの頃は、派遣時代よりも収入が落ちてしまいました。それで、スロットで稼いだりということをしていたんですね。水道橋の「みとや」というパチンコ屋で朝から並んだりして、副業にしていた(笑)。スロットというのは結構、体力勝負で朝からご飯休憩もない位に、ずっと打たないといけない。それで、夕方になると廣瀬が仕事を終えるので、彼に台を引き継いで、家に帰ってくつろいだり仕事をしたりするんですね。でも、今はスロットは稼げないので真似はお薦めしません。今、稼ぐなら平日の地方競馬がいいと思います(笑)。

中央競馬レーシングプログラムで描いたイラスト。

代表的キャラクター

「おっぱいブラザーズ」は頭がおっぱいの双子です。赤が兄、青が弟。眉毛の位置も微妙に違います。最初は、このキャラ、お母さんのおっぱいから生まれて、母死亡という設定だったんです。でも育児サイトでこのキャラが使われることになって、「それなのに母いないってどうなの?」っていうことになり、母は恋愛小説家に、仕事しながら育児をする、という設定に急遽変更しました。父は紙芝居をしながら駄菓子屋をしています。おはなし絵本クラブで毒がない感じでお願いされて、「ねこずきんちゃん」というキャラクター、4コマ漫画が生まれました。そして、このキャラは『フルーツ天国』というレシピ本のキャラにもなっています。「名探偵ピヨピヨ」は、小学校の頃に描いていた漫画のネタをひっぱり出して、ピヨピヨのキャラに付け足し付け足しで肉付けをしていったものです。「カフェインマン」は、頭がコーヒーカップのキャラクターです。これは売り込みにいった『moca』で掲載されたものです。担当の方がプロの厳しい目を持って人だったんですが、カフェインマンだけOKが出たキャラでした。

おっぱいブラザーズ(左)と名探偵ピヨピヨ(右)

キャラクターづくりはどうやってできる

思いつきで落書きをしていくのが基本です。それを廣瀬とふたりで肉付けをしていきます。そうするとキャラの履歴書的なものができあがってきます。そんな風に、どんどんとキャラを増やしていきます。すると、そこに世界観ができあがって、キャラたちが動き出して、物語ができてくるという感じです。ふたりは、キャラを生みだすことが好きなんです。でも、キャラを育てるのは苦手。ある程度、キャラやできあがり世界観ができあがると満足。ちょっと、育児放棄的なところがありますね(笑)。

まだ世間の日の目を見ていないキャラクター、「ねこ侍」の相関図。

仕事の息抜き

仕事が嫌になるとゲーム部屋に逃げ込みます。その部屋にはゲームやDVDがあったりします。ふたりとも服はほとんど持っていないので、クローゼットにはゲームがずらりと並んでいます。ゲームとして面白かったのは『信長の野望Online』です。でも、これは人生棒に振りそうなくらい面白かったので、ふたりして、もう辞めました。「人間辞めますか、信長辞めますか?」、そう自問させられるくらい面白かった(笑)。あの頃、廣瀬は朝起きるとパソコンの前で、武将そのものになりきっているんです。あと、ギャンブル全般です。

クローゼットの中に並ぶのは、洋服ではなくゲーム。

好みのオヒゲ

私が好きなものは、「オヒゲ」です。私は、「オヒゲ」がすごく気になる。ゲーム選びも髭があるかないかで選んでいます。「オヒゲーマー」という世間では、全然浸透していない肩書きを名乗ったりもしています(笑)。お気に入りのオヒゲは、『忍者外伝』の主人公リュウのお父さんのオヒゲです。他にもいろいろなオヒゲをコレクションしてします。

ほりたさんは、自称オヒゲーマーというほど、ゲーム中のオヒゲキャラクターに注目している。

生き生きとしていながら、毒もあるキャラクターを生み出すほりたみわさん。彼女のイラストの世界が、どんなところから生まれてくるのか、少しだけ垣間みれましたね。ほりたさん、廣瀬さん、楽しいお話をどうもありがとうございました!

■ほりたみわ(イラストレーター)

雑誌・書籍・webなどのイラスト、キャラクターデザインやオリジナルグッズ制作を行う。 最近ではエンターテインメント集団「弍進堂」でオリジナルキャラクターのムービーも制作。

ほりたみわのオシゴト日記
http://www.nishindo.com/diary/
弐進堂HP
http://nishindo.com/
4コママンガ よけなこ
http://www.butterfly-stroke.com/yokenako/01/index.html