ザリガニワークス

2008年11月29日に行われたshop btfトークショーは、「コレジャナイロボ」や「自爆ボタン」など、遊び心に富んだアイテムの製作を玩具のフィールドを中心に行ってきたザリガニワークスのおふたり、武笠太郎さんと坂本嘉種さん。単なるジョークアイテムとも異なり、どこか大人のシニカルさ、ウィットが漂う独特な商品開発を行うザリガニワークスのトークからは、さまざまな愉快な話が飛び出します。

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武笠 : こんにちは、ザリガニワークスです。元々、僕たちは、多摩美術大学時代の先輩、後輩の間柄になります。

坂本 : バンドを一緒にやっていたんですよ。ロックなんだけど、コミックなバンドでしたね。

武笠 : 大学を卒業して、僕は玩具会社に入社して、企画デザインの仕事をしていました。でも、やはり自分自身で手を動かして何かつくりたいという欲求があって、「太郎商店」というブランドを立ち上げて、デザインフェスタに出品したりしていました。

坂本 : 自分の方は、ゲーム会社に入ってキャラクターデザインの仕事をしていたんだけど、武笠がやっていることを見ていて羨ましく思っていましたね。

武笠 : でも、最初、僕はデザインフェスタにシルバーアクセサリーを出したりしていたんですけど、全然売れなくて、何とか売れる方法はないかを考えていたんです。それで思い浮かんだのが「自爆ボタン」だった。こういうバカバカしいものつくって、誰か買うだろうか、という感じだったんだけど、手づくりでつくって即完売!これでバカアイテムをつくる路線ができてしまいまして、次に脱出用のアクションリングというものをつくりました。あの、よく映画とかで美女を抱えながらワイヤーを降りて脱出するリングってあるじゃないですか。あのリングをつくったんです(笑)。

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2人の会社で4事業部

坂本 : その、商品PR用のイラストを自分が描いたのが、最初のコラボレーションでしたね。自分は武笠がやっぱりうらやましかった。

武笠 : それからというもの、何かというとアイデアを出して来たり、首をつっこんでくるので、"だったら一緒にやりますか?"みたいな感じになって、それがザリガニワークスの原点となっています。ザリガニワークスっていうのは、ふたりしかいないのに事業部制をとっています。オリジナル商品を製作販売する太郎商店事業部、オリジナルキャラクターを制作・プロデュースするアルカモーネ事業部、コレジャナイロボのコレジャナイロボ事業部、取引先からのオーダーによって企画とデザインを手掛けるOEM事業部です。

坂本 : わかりやすく言えば、玩具とキャラクターのデザイン・企画開発、その他、デザインや企画業務も請け負うという感じのマルチクリエイティブな会社。ま、要するに何でもやりますって事ですね(笑)。

武笠 : 取引をしてくれている会社からしたら、「どうせふたりしかいないんだろう」という感じで、僕らが「そういう仕事であれば、ウチの会社にはOEM事業部があるからできます」といっても、「いいからやってよ」みたいな感じなんですけどね(笑)。コレジャナイロボ事業部がそれだけで、事業部になっているのはコレジャナイロボの人気が高いからなんです。最初、このロボットは角材とか部材とか買ってきて、それをペンキで塗ってという、お父さんが子供のために手づくりしたロボットを売ったらどうかなってはじまったんです。

坂本 : コレジャナイのコンセプトは、子供が「これじゃなーい!」と泣き叫ぶところから来ているんだよね。

武笠 : そうです。親からプレゼントとしてもらうロボット玩具という想定で、クリスマスの日などに、自分が欲しいロボットではないパチもののロボットを与えられてしまうという、そういう悲劇的な状況を想定しています(笑)。でも、これ、「人生ではそうやすやすと自分の欲しいものは手に入らない」ということを暗に教える情操教育アイテムなんですよ(笑)。最初は年間3体くらいしか売れなかったんですけど、インターネットで販売しはじめたら、結構、注文が来て製作作業が大変なことになってしまったんですね。今では、ライセンス商品が様々なメーカーさんから発売されていますので、注文も少し落ち着きましたが、それでも月50〜100体は手作りしています。

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アイディアがどうカタチになるか

坂本 : それでもっと楽な印刷とかで売れるやつないかとできたのが…。

武笠 : 野望ポスターという、貼っているだけで緊張感が漂うポスターですね(笑)。ブランデーを片手にスーツで決めて、膝には猫を抱えているという人って、よくいますよね。「何、この人やばいこと企んでいるのかな」、みたいなことを空想させるアイテムです(笑)。これを一枚貼っておくだけで、人間関係にグッと深みが出てくるというのがあると思いますね(笑)。

坂本 : 一方ではロボット眼鏡という手間のかかる商品も開発してます。70年代に漫画などで表現されていた縦縞が実際に入っているだけの眼鏡なんですけど(笑)。

武笠 : 一枚一枚プラ板を坂本自身が熱したプラ板を型に押し当てて、成形しているから、これは手間がかかっています。着用しているだけで、ロボットっぽく見えるというアイテムですね。他にも、手裏剣コースターという、飛翔力に優れたコースターも作りました。これは、バーカウンターで飲んでいて、女性を口説くときにコースターを投げるシーンってよくあるじゃないですか?そのときに電話番号をこれに書いて投げたらよく飛ぶかなぁと思ったんですね(笑)。まあ、そういうバカバカしいものを次から次に、大の大人ふたりが構想していますね。

坂本 : 表参道にある、綺麗なお姉さんたちが働いているカフェでランチしながらね。このアイディアやっべーじゃん!みたいな感じでね。まわりにいる人たちが僕らをどう思っているかわかりませんけど。

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少しずつ広がるコレジャナイロボの世界

武笠 : コレジャナイロボのストーリーもそうだったですね。「だから、ある博士がいて、コレジャナイ・エネルギーというエネルギーを発明して、"これじゃない"っていう感情の反発をエンジンに投影して巨大エネルギーを得るというシステムなんだよ!」「じゃあさ、思春期くらいが一番強いってこと、反抗期が一番エネルギーが高まるってことじゃん!」、もう、そういうテンションで、大の大人ふたりが(笑)。

坂本 : でも、それがヤフーのウェブマガジン『月刊チャージャー』の目にとまって、その話は結局12話まで一年間連載して頂けることになりましたものね。

武笠 : 別件で取材を頂いた時、そのインタビュー中に、ホワイトボードにあった「コレジャナイ・エネルギー」等のメモ書きに、編集長が反応して、「ウチで連載しませんか?」って話になったんです。さらにその後、坂本が主題歌を勝手に考案してきて、できた歌詞を見せてくれたんですが、「いいじゃんいいじゃん」って盛り上がってると、偶然にも、あるレコード会社の人から電話があって、「コレジャナイロボの主題歌を出しませんか?」って言ってきたんですね。最初は、「アニメもないのにおかしなこと言う人がいるものだなぁ」と思ったんですけど、ちょうど出来ていた坂本のつくった主題歌を聴いてもらって、「是非、水木一郎さんに歌ってもらいたい!」と伝えたところ、『It is not this!コレジャナイロボ』というマキシシングルが出ることになったんですね。

坂本 : その後、「コレジャナイ・エキスポ」をジョイポリスでやったり、「コレジャナイロボUSBメモリー」が出たりしてきましたね。

武笠 : それで結局、グッドデザイン賞にまで申請して、ついには受賞してしまいましたからね。いやあ、コレジャナイロボの背中にGマークがついていたら、面白いんじゃないかなぁと思っただけだったんですけどね。

坂本:コレジャナイロボのプロジェクトはどんどん進んでいて、コロンビア・ミュージック・エンターテインメントさんからはCDボックスが出ました。

武笠 : 最初はドラマCDを作ろうという話だったんですが、企画途中でやはり音楽で勝負しようという事になり、コレジャナイロボのエンディングテーマや音頭、絵描き歌が入ったアルバムをKOREJANAI-DISK、さらに僕たちが選んだ昔のアニメ特撮曲のコンピレーションを、それぞれMUKASA-DISK、SAKAMOTO-DISKとして3枚組のCDボックスとして発売しました。ちなみにエンディングテーマは、「花の子ルンルン」や「キャンディキャンディ」の主題歌を歌っている堀江美都子さんに歌ってもらっています。

坂本 : そんな風に、コレジャナイロボの世界は少しずつ広がっていっていますね。

武笠 : コレジャナイロボ以外の企画もいろいろ面白いことは進行しています。でも、現場レベル、企画担当のレベルでは相当に盛り上がっても実際に商品化というところになると、予算が降りなかったり、難しいことも多々あります。しかしそこをブレイクスルーして実現させた時にこそ、本当に面白いものが出来ると思っておりますので負けずに頑張ってバカな事を続けて行きたいと考えています。

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■ザリガニワークス

武笠太郎、坂本嘉種によるマルチクリエイティブ会社。グッズレーベル「太郎商店」運営の他、玩具の企画開発、デザインを軸にしながらキャラクターデザイン、作詞作曲、ストーリー執筆など、ジャンルにとらわれないコンテンツ制作を広く展開。

ザリガニワークスHP
http://www.zariganiworks.co.jp/index.html